マジック・リアリズム的手法と豊かな物語性、確固たる強度を持つ文体を具えた新星による、抵抗と革命の二篇を書籍化。
磯﨑憲一郎氏(『終の住処』『日本蒙昧前史』)推薦!
改元
著者 畠山丑雄
発売日 2024年9月30日(月)
価格 1,980円(本体価格1,800円)
判型 四六判
ISBN 978-4-911125-02-1
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「君は今回の譲位についてどう思うかね?」
「龍の話じゃありませんでしたか?」
「そうだよ」久間さんは目を細め暗い光を溜めた。「ずっと前から私はその話しかしていない」
龍の夢が「私」を通過するとき、この国のもうひとつの姿があらわれる――
現代日本小説屈指の剛腕による、抵抗と革命の二篇。
改元の年の異動で山奥の町に着任した公務員「私」は、集落に伝わる惟喬親王が見たという龍の夢の伝説を追って、この国のもうひとつの姿を目撃する。(「改元」)
山あいの地主の一族に生まれた少年は、日猶同祖論を唱える父によって「世界の救い主」となるべく「十(じゅう)」と名付けられた。第二次世界大戦をまたいで繰り広げられる、めくるめく年代記。(「死者たち」)